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交通事故による休業損害

休業損害とは、受傷や治療による休業をしなければ、働くことで得られたであろう収入を失ったことによる損害です。

すなわち、交通事故による受傷のせいで得られなくなった収入です。

1.給与所得者(会社員)

①算定方法

事故前の収入を基礎として受傷によって休業したことによる現実の収入減が損害額となります。事故前の収入は、保険実務では、事故前3ヶ月の平均給与をもとに算定することが一般的です

事故前3ヶ月の給与合計額÷90日×休業日数=給与所得者の休業損害

なお、算定の基礎となる給与額には付加給を含めます。また、税金や社会保険料は控除しません。

算定の基になる資料は、給与の支払者が作成する「休業損害証明書」(保険会社定型の書式)、事故前年度の「源泉徴収票」です。「休業損害証明書」には、交通事故による休業日数・治療のための遅刻や早退の回数、休業期間中の給与の支払状況、事故直前3ヶ月間の給与の支払状況が記載されます。

【休業損害の計算例】

休業日数が18日で、事故前3ヶ月における給与の支払状況が以下の場合。

 稼働日数支給金額社会保険料所得税差引支給額
本 給付加給
24年1月分

21

139,00071,50021,26919,250169,981
24年2月分20139,00046,00021,26916,440147,291
24年3月分20139,00028,20022,27316,140128,787

61

417,000145,70064,81151,830446,059

562,700円(本給と付加給3ヶ月分の合計額)÷90日×18日(休業日数)

=112,539円(1円未満切捨て)

なお、裁判実務では、90日ではなく稼働日数(上記の例だと61日)を基にして1日あたりの基礎収入額を算定することもあります。また、事故前3ヶ月の平均給与ではなく、年間給与・年収を基礎として算定することもあります。


②有給休暇の使用

休業損害証明書には、「年次有給休暇」の使用日数も記載されます。有給休暇を使用して治療のために欠勤した場合、表面上は休業による減収はありませんが、休業損害を請求することができます。

「年次有給休暇」とは、使途を限定しない年次有給休暇であって、必要に応じて自由な時期に取得できる休暇をいいます。使用時期、使用理由に制約のある夏季休暇、忌引休暇、私傷病休暇制度による有給休暇等は含まれません。


③賞与の減額

交通事故による休業のため賞与を減額された場合、「賞与減額証明書」を会社に発行してもらいます。欠勤日数に応じて賞与が減額されるような支給基準が整備されている会社であれば、支給基準の定められた就業規則などを一緒に提出して、賞与減額を休業損害として請求します。


④休業中の昇給・昇格による給与の増加

休業期間中に昇給や昇格により給与額が事故時よりも増加した場合には、事故前の給与ではなく、昇給・昇格後の給与額を基礎にして休業損害を請求できます。


⑤昇給・昇格の遅延による損害

事故による休業のために、昇給・昇格が遅延した場合、給与等の差額分を損害として請求できることがあります。


⑥事故が原因で解雇されたり退職を余儀なくされた場合

退職した日以降も、受傷により働くことが困難な期間は休業期間となり、休業損害を請求できます。働くことが可能になった時期以降についても、就職先を得たときまでの期間か転職先を得るために必要な相当期間のいずれか短期の期間を休業期間として損害を算定します。

2.事業所得者(自営業者、自由業者)

①算定方法

事故前年の確定申告所得額から収入日額を算定し休業日数を乗じて計算します。

事故前年の申告所得(収入額-必要経費)÷365日×休業日数=事業所得者の休業損害

計算のために必要な資料は、事故前年の「確定申告書控え(税務署の受付印があるもの)」です。その他に所得金額の構成をチェックするため「収支内訳書控え(白色申告者)」または「青色申告決算書控え(青色申告者)」(いずれも税務署の受付印があるもの)、所得金額の正否をチェックするため、事故の起きた年の当年分の「課税証明書」または事故前年分の「納税証明書」が必要となることもあります。

所得に相当の変動がある事業所得者の場合には、事故前年分のみでなく事故前数年分の確定申告書を用いて算定することもあります。

一定期間まったく仕事をすることができず減収が生じたことが明らかで、確定申告所得額にも争いがない場合には、上記のように簡単に事業所得者の休業損害を算定することができます。

しかし、実際には、単純な事案はあまりなく、事業所得者の休業損害算定には、様々な問題が生じるため立証に工夫を要することが多いです。


②減収が生じていないときに休業損害が認められるケース

1.代替人員の使用や外注によって減収を回避した場合、必要かつ相当な費用が休業損害として認められます。

2.家族の協力により減収を回避した場合、休業損害が認められることもあります。

3.事故前の営業活動の効果が現れたため、事故後休業しているにもかかわらず所得が増加している場合、休業損害が認められることもあります。


③確定申告の所得額によらない基礎収入認定ができるか?

1.確定申告所得額を超える収入の主張、経費の水増し

申告所得を上回る収入や経費の水増しで実際の所得が申告所得より多いことを主張しても、かなり詳細に収入や経費を裏付ける立証をしないかぎり、裁判所には認められません。

2.確定申告をしていない場合

必ずしも無収入と断定されて休業損害を否定されるわけではなく、相当の収入があったことを立証できれば、賃金センサス平均賃金を基礎として休業損害を算定することがあります。


④休業中の固定経費の支出

休業中も支出を余儀なくされる固定経費(家賃、従業員給料など)は、事業の維持・存続のために必要止むを得ないものは損害として認められます。


⑤所得への寄与率

家族など身内の者を使用して事業を行っているにもかかわらず、給与支払がなされておらず、家族全体の労働で得られた収入をすべて事業主の収入として申告しているケースがよくあります。この場合、家族等の労務の対価分が事業主の所得に含まれていることになるので、事業主の休業損害の算定にあたっては、所得額全部ではなく所得額に対する事業主の寄与の割合を乗じた額を基礎収入額とします。


⑥事業の廃止による損害

事業の廃止にともなって利用できなくなった設備や商品などの価値相当額が損害として認められることもあります。


⑦申告所得額が赤字の場合

上記①の方法による算定ができないことから、休業損害が認められないようにも思われます。しかし、前年の申告所得額と事故年の申告所得額を比較して、赤字が拡大している場合には、赤字の拡大額が休業損害として認められる余地があります。

3.主婦(家事従事者)

炊事・洗濯・掃除、子供の養育などの家事労働には経済的価値があります。そのため、現実に収入がなくても、主婦の方は、受傷のために家事を行えなかった期間について休業損害が認められます。

家政婦等を利用した場合は、家政婦代等の費用が損害として認められます。

①算定方法

賃金センサスの女子労働者全年齢平均(年齢や学歴などで細分化しない女子労働者全体の平均)の年収額を基礎として収入日額を割り出し算定します。

賃金センサスの女子労働者全年齢平均賃金÷365日×休業日数=主婦の休業損害

【計算例】

平成24年に交通事故で受傷し、20日間家事ができなかった場合

354万7200円(平成24年賃セ女性学歴計全年齢平均賃金)÷365日×20日(休業日数)=19万4,367円(1円未満切捨て)


②兼業主婦の場合

仕事を持っている主婦、いわゆる兼業主婦については、仕事で得る収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として算定します。

兼業主婦は、専業主婦と比べて、家事だけでなく仕事もこなしている分、家事労働分と仕事をして受け取る賃金を合わせた額を算定基礎にしなければおかしいとの考え方もありますが、裁判実務上はこのような扱いとなっています。


③高齢者の場合

高齢者の場合には、全年齢の平均賃金額ではなく、年齢別の平均賃金額を基礎として算定される傾向にあります。さらに、かなりの高齢者の場合には、年齢別平均賃金額を何割か減額した額を基礎として算定されることもあります。


④男性の家事従事者

家事従事者とは、年齢・性別を問わずに家族のために家事を行っている者をいうので、男性の家事従事者にも休業損害が認められます。ただし、算定の基礎となる収入額は、女性労働者の平均賃金となります。


⑤家事を分担している場合

子供夫婦と同居している主婦など、家事を分担している場合には、分担している家事の内容や従事できる労務の程度を考慮して、平均賃金額を何割か減額した額を基礎として休業損害を算定することがあります。


⑥症状の経過による休業割合の変化

入院中や受傷直後は100%家事を行えない場合が多いですが、怪我がよくなるにしたがって少しずつ家事ができるようになるのが通常です。そのため、主婦の休業損害は、治ゆや症状固定までの症状の変化を考慮して休業損害を算定することが多いです。

【計算例】

治療期間6ヶ月で、事故後2ヶ月(60日)は100%、その後2ヶ月(60日)は50%、その後2ヶ月(60日)は20%の割合で家事労働に支障があった場合(便宜上、収入日額を1万円と想定)

1万円×60日+1万円×0.5×60日+1万円×0.2×60日=102万円

4.会社役員

会社役員が受け取る取締役報酬は、受傷によって就労できなかった場合、労務提供の対価部分については休業損害として認められますが、利益配当的部分は損害として認められません。

会社役員の取締役報酬は、ⅰ利益配当的部分、ⅱ労務提供の対価部分に分けられるのが通常です。

ⅱについては、実際に働いて労務提供の対価として受け取るものですから、受傷によって働けなくなったことにより、会社からの支給がなくなれば休業損害として認められるのは当然といえます。

これに対し、ⅰについては、利益配当的部分であり、役員としての地位にある限り休業していても支給されるものですから、休業損害は発生しないと考えられます。

したがって、休業損害の発生が問題になるのは、取締役報酬のうち、労務提供の対価部分のみです。

ただし、実際には、利益配当的部分と労務提供の対価部分を区分することは困難です。

裁判例においては、会社規模や会社における当該取締役の実際の役割、仕事内容などを考慮して労務提供の対価部分を算出するものなどがありますが、明確な基準はありません。

一般労働者の賃金水準を示す賃金センサスを基にして算出している裁判例は相当数あります。

会社役員の基礎収入について詳しくは、後遺症逸失利益における会社役員の基礎収入算定をご覧ください。

5.失業者

原則として休業損害は発生しません。交通事故により受傷しても、休業による減収という事態が発生しないからです。

ただし、労働能力や労働意欲があり、就労の可能性が高い場合には、事故による受傷により就労できなくなったときには、休業損害が認められます。

就職が内定していたり、就労開始が具体的に予定されている場合には認められやすく、具体的な就職予定がなくても、就職活動をしていた場合などには認められる可能性があります。

基礎収入の金額は、失業前の収入額、予測される将来の職業、性別、年齢、学歴・経歴等、賃金センサスを参考にして認定されます。

ただし、休業損害が認められる場合でも、賃金センサスの平均賃金を下回った額になることが多いです。

6.学生、生徒、幼児など

原則として休業損害は発生しません。

就労していないので、休業による減収という事態が発生しないからです。

ただし、アルバイト収入を得ている者については、休業損害が認められる場合があります。

また、治療が長期に渡ったため、学校の卒業や就職時期が遅れた場合には、通常どおり就職していれば得られていたはずの給与額が損害として認められます。

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