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症状固定について

1.症状固定とは

「医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき」をいいます。

簡単にいうと、治療をつづけてもそれ以上に症状の改善が望めない状態に達したときです。

投薬やリハビリで症状の回復がみられても、それが一時的なものにすぎず、全体的に見て症状の経過が平行線となっている場合も、症状固定状態に達しているといえます。

症状固定は、医学的な概念ではなく、医師の世界には「症状固定」という用語はありません。自賠責や労災の後遺障害認定手続・損害賠償実務・保険実務で使用される概念なので、医師が「症状固定」という用語の意味を正確に理解しているとは限りません。

症状固定概念図

2.症状固定時期

6ヶ月以上を経てから症状固定となるのが通常です。

ただし、傷病や後遺障害の内容・程度によって異なりますし、治療・症状の経過には個人差があるので、6ヶ月以下で症状固定となることもあれば、症状固定まで数年を要することもあります。


・むちうちの症状固定時期

むちうちは見えにくい障害であり、客観的に証明することが困難な障害なので、後遺障害認定に際して、治療期間や通院日数も重視されます。そのため、後遺障害として認定されるケースは、6ヶ月以上の通院・治療期間を経て症状固定となる場合が一般的です。


・骨折の症状固定時期

骨折の場合、変形障害、短縮障害などは、通常、骨癒合したとき(骨折が修復したとき)であり、症状固定まで6ヶ月もかからないことがあります。

ギブスなどの外固定で治療する「保存療法」ではなく、骨折部位を手術して、骨癒合後に抜釘(プレートやスクリューの除去)をする場合には、症状固定まで長期間を要することがあります。

骨癒合後に関節可動域制限の障害が生じる場合は、リハビリ期間が必要となることから、症状固定までの期間が長くなります。また、骨癒合後に痛みなどの神経症状が残る場合には、回復が見込まれる時期が過ぎる頃を症状固定日とします。


・醜状障害の症状固定時期

通常は、傷が治ってから6ヶ月が経過したときです。

レーザー治療などにより、痕跡を改善する場合、長期間の治療を要する場合があるので症状固定まで2年以上かかることもあります。


・高次脳機能障害の症状固定時期

成人の場合、急性期の症状が回復し、安定した後の、受傷後少なくとも1年以上が経過した時点となります。

3.症状固定日は誰が決めるのか?

症状固定日を決めるのは、後遺障害診断書を作成する医師(主治医)です。

しかし、医師の仕事は、治療をして患者の身体をもとに治すことなので、症状の改善が望めないこと(症状固定)を認めることに消極的な面があります。また、治療の効果が上がらなくなっていると判断していても、治療を打切ることで患者から恨まれる可能性もあるので、自らの判断で治療打切り(症状固定)とすることに抵抗を感じる面もあります。

そのため、実際には、後遺障害診断書作成の依頼など、被害者からの働きかけをきっかけに、医師が症状固定と判断することも多いです。

また、保険会社は、診断書・診療報酬明細書の記載内容、電話、面会、書面による医師への問い合わせ(医療照会)により、治療・症状経過を定期的にチェックしています。その結果、保険会社が、これ以上治療をつづけても症状の改善が望めない状態になったと判断した場合、医師に治療費の支払打切りや症状固定時期に達していることを打診することがあり、医師の判断に影響することもあります。

そのため、保険会社からの働きかけをきっかけに、医師が症状固定と判断することもあります。

保険会社は、治療・症状経過を定期的にチェックしていますし、「症状固定」とは医学上の概念ではなく保険実務上の概念なので、保険会社の判断が的確な場合もあります。

しかし、事件の早期解決、保険金の支払を少なく済ませたいとの意図で、治療費の打切りや早期の症状固定に持ち込もうとするケースがあることも否定できません。

したがって、交通事故被害者は、症状固定の判断を医師や保険会社にまかせきりにするのではなく、主体的に自身の傷病、後遺障害の内容、治療・症状の経過を理解して、最終的に医師と相談のうえで症状固定時期を決めるべきです。

4.後遺障害診断書に記載された「症状固定日」は絶対的なものか?

医師が後遺障害診断書に記載した「症状固定日」が、損害賠償請求の際に必ずしも絶対的な「症状固定日」と認められるわけではありません。

裁判で症状固定時期が争いになり、裁判所が医師の判断と異なる症状固定日を認定することもあります。

裁判所は、医師の判断を踏まえたうえで、①傷害や症状の内容、②症状の推移(治療による改善の有無)、③治療・処置の内容、④治療経過(通院頻度、治療中断の有無)、⑤検査結果(他覚的所見の有無)、⑥当該症状につき症状固定に要する通常の期間、⑦交通事故の状況(衝撃の程度など)などの観点から、症状固定時期を判断します。

症状固定日が変わると、賠償金額が変わったり、時効の起算点がずれるなどの影響があるので、交通事故被害者は、後遺障害診断書に記載された「症状固定日」を絶対視するのではなく、実態に合致したものであるかを慎重に検討する必要があります。

5.賠償額の算定において症状固定日がもつ意味

「傷害による損害」と「後遺障害による損害」の境界線

症状固定後は、「傷害による損害」は発生しなくなり、「後遺障害による損害」が発生することになります。

すなわち、症状固定後は、治療費や休業損害などを請求できなくなり、後は、逸失利益(労働能力が下がったことによる損害)や後遺障害慰謝料などしか請求できなくなります。

損害概念図

症状固定までの期間が長いほど賠償額は多くなるのか?

○治療費

症状固定までの治療期間が長くなるほど「治療費」の賠償額は多くなります。

しかし、上記4.でお話ししたように、後遺障害診断書に記載された「症状固定日」は絶対的なものではなく、裁判所は治療・症状の経過などの事情を総合的に考慮して症状固定日を判断します。そのため、治療を続けているのに症状が改善していないような場合、症状固定日を後遺障害診断書に記載された時期より早い時期と認定することもあります。

この場合、実際に生じた治療費の一部(裁判所が認定した症状固定日までの治療費)しか損害として認められず、残りの治療費は、交通事故と相当因果関係がないものとして賠償請求は否定されます。


○傷害慰謝料(入通院慰謝料)

傷害慰謝料」の金額は入通院期間が長いほど多くなるので、症状固定までの期間が長いほど傷害慰謝料額は多くなります。

ただし、入通院期間が長くなるほど慰謝料の増加率は小さくなります。たとえば、むち打ちで治療期間が長期に及んでも、12ヶ月を超えた場合には、その先の1ヶ月あたりの慰謝料増加額は1万円にすぎません(入院期間0日で通院のみの場合)。

また、裁判所が、症状固定日を後遺障害診断書に記載された時期より早い時期と認定するなどした場合、交通事故と、ある時点以降の入通院との相当因果関係を否定して、実際の入通院期間の一部をもとにして傷害慰謝料を算定することもあります。この場合、当然、実際に入通院した全期間をもとにして算定する傷害慰謝料の額よりも少なくなります。


○休業損害

休業損害」は、必ずしも症状固定までの全期間について認められるわけではありません。

重度後遺障害などでまったく働けないような状況であれば症状固定までの全期間について休業損害が認められますが、中・軽度の後遺障害の場合には、必ずしも、症状固定日までのすべての期間の休業損害が認められるわけではありません。

怪我がよくなるにしたがって労働能力も少しずつ回復してくるのが通常なので、症状固定前の段階でも、就労が可能な状況になった時期以降は、休業損害を請求できなくなります(ただし、収入日額の100%全額ではなく一定割合について休業損害が認められることはあります)。

したがって、症状固定までの期間が長いほど休業損害の額が当然に増えるわけではありません。


○逸失利益

逸失利益」は労働能力喪失期間が長いほど額が多くなります。

したがって、67歳(就労可能年限)まで労働能力喪失期間が認められる場合には、症状固定時期(年)が早いほど、逸失利益の額が多くなるといえます。

ただし、症状固定時期が早いほど、傷害による損害(傷害慰謝料、休業損害など)の賠償額は少なくなることが多いので、必ずしも賠償金の総額が増えるとは限りません。


以上のように、必ずしも症状固定までの期間が長いほど賠償金総額が多くなるとはかぎりません。いたずらに症状固定までの期間を延ばしても、被害者の方に金銭的メリットがなく、かえって解決までの時間が長引くだけのケースもあります。

交通事故で傷害を負った被害者の方は、身体をもとの状態に治すために、最大限に治療の努力をするべきです。

しかし、不幸にも完治せずに、症状が平行線をたどり、改善が見込めない状態となった場合には、後遺障害による損害について適正な賠償金を得るために、後遺障害申請の準備へと頭を切り替えなければなりません。

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