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加重障害(既存障害)について

加重障害とは

「加重障害」とは、今回の交通事故で、「既存障害」がある部分と同一部位(同一系列を含む)に障害が生じて、より重い後遺障害を残すことになった状態です。

「既存障害」とは、今回の事故以前から、身体に存在していた後遺障害をいいます。既存障害には、先天的なものや交通事故以外の事故を原因とする後遺障害も含みます。

①同一部位の例


右人差し指の機能が用をなさなくなった既存障害(12級)のある主婦が、今回の交通事故で右人差し指を失った(11級)場合

同一部位に障害が生じたことになるため、11級の加重障害となります。

②同一系列の例


左足関節(足首の関節)の機能障害(12級)の既存障害がある主婦が、今回の交通事故で新たに左ひざ関節の著しい機能障害(10級)を生じた場合

左足関節と左ひざ関節は厳密には同一部位といえませんが、左下肢の機能障害という同一系列に障害が生じたことになるため、既存障害との併合により9級の加重障害となります。

加重障害が生じた場合、「後遺障害による損害」の賠償金額をどのように算定するのかが問題になります。

1.自賠責保険における加重障害の扱い

後遺障害による損害の自賠責保険金は、加重後の後遺障害に対応する保険金額から、既存障害に対応する保険金額を差し引いて算定されます。

たとえば、冒頭の例①の場合(12級の既存障害がある人が、今回の事故により11級の加重障害となった)、加重障害の11級の自賠責保険金(331万円)から既存障害の12級の自賠責保険金(224万円)を差し引いた107万円が支払われることになります。

冒頭の例②の場合(12級の既存障害がある人が、今回の事故により9級の加重障害となった)、加重障害の9級の自賠責保険金(616万円)から既存障害の12級の自賠責保険金(224万円)を差し引いた392万円が支払われることになります。

2.損害賠償実務における加重障害の扱い

損害賠償実務では、加重障害の場合の「後遺障害逸失利益」と「後遺障害慰謝料」の算定方法が主に問題となります。加重障害の損害額算定方法には様々な考え方があるため、損害額が争われて裁判になることが多いです。


①後遺障害逸失利益の算定方法

後遺障害逸失利益は、

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数(以下では便宜上「R」と表記します)の計算式で算定されます。

後遺障害逸失利益について詳しくはこちら

加重障害の逸失利益算定には、様々な方法が考えられますが、適正な賠償金の算定という見地からすれば、おおまかには以下の3つの方法があげられます。

  1. [事故前の実際の収入]×[本件事故自体による労働能力喪失率]×R
  2. [既存障害がなければ取得できたであろう収入額]×[加重障害の労働能力喪失率-既存障害の労働能力喪失率]×R
  3. [既存障害がなければ取得できたであろう収入額]×[加重障害の労働能力喪失率]×R×寄与度減額率

1.の方式による冒頭の例②の逸失利益の算定方法

「事故前の実際の収入」を320万円と仮定して、「本件事故自体による労働能力喪失率」を今回の交通事故で新たに生じた左ひざ関節の著しい機能障害(10級)の喪失率27%とした場合

320万円×0.27(10級の喪失率27%)×R

1.の方式は、既存障害の影響を「基礎収入」の部分で考慮する算定方法です。ただし、「本件事故自体による労働能力喪失率」を認定することは実際には困難なことも多いです。

2.の方式による冒頭の例②の逸失利益の算定方法

「既存障害がなければ取得できたであろう収入額」を賃金センサスの女子全年齢平均賃金(学歴で細分化しない)354万円とした場合

354万円×(0.35《加重障害9級の喪失率35%》-0.12《既存障害12級の喪失率12%》)×R

2.の方式は、既存障害の影響を「労働能力喪失率」の部分で考慮する算定方法です。加重障害の自賠責保険金算定方法に近い考え方です。

ただし、「既存障害がなければ取得できたであろう収入額」を導き出すのは実際には困難なので、2.の方式を使用するのは、賃金センサスの平均賃金を用いることが適当な事案(主婦や若年労働者など)や、「事故前の実収入」と「既存障害がなければ取得できたであろう収入額」が同程度と考えられる事案に限られると思われます。

3.の方式による冒頭の例②の逸失利益の算定方法

「既存障害がなければ取得できたであろう収入額」を賃金センサスの女子全年齢平均賃金(学歴で細分化しない)354万円とし、素因減額率を20%と認定した場合

354万円×0.35(加重障害9級の喪失率35%)×R×(1-0.2)

3.の方式は、既存障害の影響を「寄与度減額」の部分で考慮する算定方法です。「寄与度減額」とは、被害者側にある要因によって損害が拡大していると判断される場合に損害額の一定割合を減額することです。ただし、減額率の認定は裁判官の裁量に委ねられるので、最も大雑把な方法になります。


②後遺障害慰謝料の算定方法

加重障害の後遺障害慰謝料算定方法は、おおまかには以下の3つの方法があげられます。

1.今回の事故自体による後遺障害の程度に対応する慰謝料額とする方法

冒頭の例②でいえば、今回の事故自体で生じた後遺障害を10級とすると、慰謝料額550万円(10級の基準額)となります。

ただし、この方式は、今回の事故自体で生じた後遺障害の程度を認定するのが難しい事案の場合に用いるのは困難といえます。

2.加重障害に対応する慰謝料額から、既存障害に対応する慰謝料額を差し引く方法

冒頭の例②でいえば、加重障害(9級)に対応する慰謝料額690万円(9級の基準額)から、既存障害(12級)に対応する慰謝料額290万円(12級の基準額)を差し引きます。

690万円-290万円=400万円となります。

3.加重障害に対応する慰謝料額から寄与度減額により一定割合を減額する方法

冒頭の例②で、仮に寄与度減額率を20%と考えると

690万円(加重障害9級の慰謝料額)×(1-0.2)=552万円となります。

新たに生じた後遺障害が既存障害よりも高い等級でない場合

同一部位に新たに生じた後遺障害が、既存障害よりも高い等級でない場合に、後遺障害による損害が認められるかどうかは、とくに、12級、14級の神経症状の既存障害がある場合に問題となることが多いです。

1.自賠責保険における扱い

既存障害と同一部位に、今回の交通事故により新たな後遺障害が生じた場合でも、既存障害よりも高い等級にならなければ、自賠責保険の扱いでは加重障害に該当しません。

たとえば、頚椎捻挫により神経症状の後遺障害(14級)の既存障害がある人が、今回の交通事故で新たに頚椎捻挫を受傷して神経症状の後遺障害(14級)を残したとしても、加重障害として扱われず非該当となり、自賠責保険金は支払われません。

2.裁判実務における扱い

通常、逸失利益の算定では、14級の神経症状の後遺障害は労働能力喪失期間を2~5年、12級の神経症状の後遺障害は労働能力喪失期間を5~10年程度に制限されることが多いです。とすれば、前回の事故から今回の事故までにかなりの期間が経過していれば、既存障害の影響がないと判断できるケースもあり得るはずです。

そのため、裁判実務においては、今回の事故当時に、既存障害の症状が、既に治癒していたり改善していると認定される場合には、今回の事故を原因とする「後遺障害による損害」(逸失利益、後遺障害慰謝料)が認められることがあります。

これに対し、既存障害の症状が改善していないと認定される場合には、今回の事故の「後遺障害による損害」が否定されることもありますが、素因減額により一定割合を減額されたうえで損害額の一部が認められることもあります。

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